7ページ

パートナーとの過去世/イタリア

 彼との過去世は、鎌倉だけではなかったようでした。
 私と出会う何年か前に、彼が自分で思い出したのはイタリアのアッシジでのものだったそうです。イタリアへ取材旅行に行った時に詳しく思い出したらしく、聖フランチェスコを師として暮らしていた修道士だったとき、やはり志し半ばで殺されてしまったとのことでした。
 その時、修道院に愛する人がいて、死ぬ間際その女性の名前を心の中で叫んでいたといいます。聖フランチェスコ本人は、男女交際を禁じもしなかったのですが、その後の流れで修道士・修道女の間の交流は禁止されていたようです。
 実はこれもまた、この話は他からの情報源と重なってしまったのです。一番最初に私が見た過去世で私のパートナーだった女性である(水没した島の時代)友人が、私との過去世が突然見えてしまったと伝えてくれたのですが、修道院で私達が姉妹だったという話でした。彼女は少し年の離れた私の妹でとても仲が良かったようでした。どうやら彼女は、当時私と彼が想い合っていたのを知っていて、無邪気に
 「何で一緒にいないの?」
と、私達の間をいったり来たりしていたようなのです。
 実際考えてみれば、私と彼は少ない回数しか会っていなかったけれど、噂話として情報を伝えてくれたのは彼女でした。本人も今になってもなぜだか分からないと言いますが、誰にも頼まれていないのに仲介役を引き受けたみたいな行動をしてしまったと言っていました。…偶然でしょうか?
 そこでも果たせぬ愛で終わってしまったとのことでしたし、最近別の過去世でも先に逝ってしまったものを見てしまい…いい加減にしようね、と自分に言い聞かせたい気分でした。
 それぞれ、どの時代も必要があって体験したものであり、今世は過去を踏まえて生きていこうという道を選択したのであれば、活用しない手はありません。
 
今世を総決算という気持ちで捉えるくらい真剣に生きたいと思いますし、地球全体が平和になる為の第一歩は自分たちそれぞれの平穏な心に託されているのではないかと感じます。だから、まず自分を愛することから…なのです。

最終章/鎌倉への旅

 多分、私も彼も今世では絶対に成就させたかった愛の課題を持っていたのだろうと思うのですが、もしどちらかが途中でくじけてしまったら、出会いもしなかった気がします。実際に私は諦めかけていたのですから。
 諦めるのは、簡単です。だからこそ、本心に気付いてあげて下さい。余り必要の無い事にエネルギーを注ぎ込んでは、もったいないです。ドラマ(エネルギーの奪い合いのドラマのこと/聖なる予言・角川文庫参照)の中に囚われていることに気付かなければ、そのまま時は過ぎて行きます。しかも自分の潜在意識がすっかりドラマに慣れてしまっているので、そのまま居るほうが楽かもしれません。
 変化は時に不安かもしれません。
  恐怖と愛の体験は背中合わせだと聞いた事があります。
 愛を実行しようとすると、同時に恐怖を感じてしまうかもしれないのです。
 勇気をもってドアをたたいてみませんか?
 もちろん選択の自由はそれぞれの手の中にあります。
 「沸き出でる 思いの根源は愛です
   受け取る人の観念で
      受け留め方は変わります
    それでも根源の愛は変わりません
  遅かれ早かれ
   知る得るものは皆
    同じなのです」
          
 春が来て、桜が咲く頃、彼と鎌倉を訪れました。
 二人で行く事の意味は分かっていました。
 桜衣はずっと雅清を待っていました。
 雅清はずっと鎌倉へ帰りたかったのです。
 彼は当時の罪悪感から彼の能力を封印していると言いました。それを解き放す意味もありました。
 二人が住んでいたという場所に行くと、私に桜衣が話かけてきた気がしました。
 「春の薫り、春がようやくここまで運んでくれました。 
  あなた方に必要なものがここにあります。
  桜の花が導いてくれるでしょう。
  ようやくこの時が来ました。
  
不安と寂しさを置いて行って下さい。私が引き受けます。」

 そして、桜の木が呼んでいる方向へと向かいました。
 私が引越しの整理をしていた時、木彫りのこけしの中にまるで雅清と桜衣のような人形があるのを彼が見つけ、鎌倉に持って来る事にしていました。
 
桜に導かれた先で、また桜衣が言いました。
 「私達はここで、永遠の逢瀬を誓いました。」
 ロマンチックだなあ、と思いながら、人形を土に還すことにしました。
 「さて、これからが僕達の物語の本当の意味でのスタートだね。」
 過去に囚われてしまうことなく、本当の自分を見つけて行くのは、ワクワクする冒険のようなものかもしれません。
 生まれてきたと言う事は、それだけで価値がある事です。例え落ち込んでいる時でも、最悪だと思うときでも、決して一人ではないということを心に刻んで肉体を持っている体験を味わいましょう。
既にあなたの中にも永遠の命が宿っているのですから。


第2章の始まり〜?




               目次へ